前回

海賊版の巣窟みたいなことをいった中国ですが、時代をさかのぼれば立場は逆転。
パクリ元が中国で、パクリ大国は日朝越だったりします。三国志とか封神演義とか。
まあなにせのころの中国は、周辺各国にも寛容な世界帝国でしたからね。文化的にも地域の筆頭でしたし。
今の中国も少しは見習えと。

それはともかく、日本国内でもパクリorオマージュは、特に映像文化で著しい気がします。
私が一番よくおぼえているのは、アニメ「デジモンアドベンチャー」のシリアスシーンを見て、笑ってしまったこと。
悪役がお台場一帯を特殊な霧で覆いつくし、外界との接触を断って活動をはじめるのですが、思わずテレビの前でつぶやいたものです。

首都消失かよ」と。


永遠の天下第一SF作家である小松左京の小説「首都消失」は、似たような霧の壁が東京圏内に覆いかぶさってしまい、首都なき状態におちいった日本のパニックを描いています。
ヴァンデモンのアレは、その劣化コピーだと私は確信しております。

他にも、異世界の日本における大阪の官庁街はもともと「日本アパッチ製作所」の敷地だったり(同じく小松左京「日本アパッチ族」)。
某ゲームで敵性地球外生命体の巣が落下したのが、中国の新疆ウイグル自治区カシュガル近辺だったり(やっぱり小松左京「見知らぬ明日」)、その生命体の種類ごとに元ネタが見えたり(要塞級はどうみても有名な“バージェスの幻覚”ハルキゲニアの旧想像図)。
また別の某ゲームで、神経接続部品の製造元が千葉シティだったり(ウィリアム・ギブスンニューロマンサー」)。
やはり、特にSFやファンタジーでこの傾向は大きいでようで。
もっとも、「ニューロマンサー」はいわゆる“サイバーパンク”の大傑作ですし、「マイクロチップの魔術師」で産声をあげ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」で(というか、その映画版の「ブレードランナー」で)開拓されたひとつのジャンルへ市民権を与えたわけで、オマージュや影響、小ネタは他作品にも大量に見受けられるのですが(大御所では「AKIRA」、「攻殻機動隊」、「マトリックス」あたり)。
……なんつってなんつって。しょせん、十年たらずのSFファンですけど。


さらに、サブカルチャー同士の本歌取りもかなり見受けられます。
元ネタの知名度でいえば、ここ十五年ほどの仮想戦記もので、登場すればおおむね特攻あるいは大破炎上する駆逐艦綾波」が筆頭でしょうか。言うまでもなくエヴァですが。
著作権についてフリーダムなネット上の作品では、なぜか戦艦大和関係で大活躍する藤堂高虎の子孫たちに吹いた覚えがあります。
そうそう、ハンニバルの生涯をアスキーアートで描ききった某やる夫シリーズでは、首絞めが好きな下級将校(通称「魔王」)がいて笑いました。
伊藤さんせめてアレクサンドロス作戦はお願いしたかった。


ま、そんなわけで、あんまりにも露骨でないかぎりパクリやネタ流用は黙認すべきじゃないかと思いますよ。
テコンV」とか「心霊之窓」は全パクリのうえ知らん顔してるからタチ悪いけど。



以上、私信でした。ご無礼。

首都消失 (上) (ハルキ文庫)

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見知らぬ明日 (ハルキ文庫)

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ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

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ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 通常版 [DVD]

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征途〈上〉衰亡の国 (徳間文庫)

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