ロシア大統領の
У・У・プーチン氏は、圧倒的多数の議席を誇る与党「統一ロシア」の党首でもあるわけですが、統一ロシアの党大会が次の週明けに予定されているのに、いきなりやってくれました。
プーチン大統領、後継候補にメドベージェフ氏指名(毎日新聞)
メドヴェージェフ第一副首相は42歳。サンクトペテルブルク時代、プーチンの恩師サプチャークの顧問になって以来の腰巾着で、若手出世頭だそうです。
てっきりプーチンと同じタカ派のイワノフ第一副首相(ロシアには第一副首相が何人もいるらしい。同名の元外相とは別人)が後継者だと思っていたのですが、さすがにそれはやめたようで。
穏健派として有名なメドヴェージェフさんですが、出家したプーチンによる院政の道具で終わるのか、不安なところです。
追記。
不安はなくなって諦観が生まれました。
いやだって、これ↓。
プーチン氏をロシア首相に・「後継」メドベージェフ氏が言明(日本経済新聞)
その発想はなかったわ。
まさかここまで公に権力保持を宣言するとは思いませんでした。
この件に関して、毎日新聞に面白い記事が載っていたので紹介。
プーチンのロシア:第4部・後継指名の衝撃/上・中・下
興味深い箇所を抜粋します。
来年5月の任期切れを前に、なお7割の支持率を誇る大統領が、なぜ奇策の連発に走るのか。反プーチン派の元チェス世界王者カスパロフ氏は「これまで強権的に抑えつけられていた治安機関同士や、国営企業の権益を狙う勢力間の争いが表面化するのを恐れているためだ」と話す。
モスクワで今、流行しているアネクドート(ロシア特有の政治小話)がある。
<孫>スターリンってどんな人だった?
<祖母>いい人だった
<孫>フルシチョフは?
<祖母>いい人だった
<孫>プーチンは?
<祖母>死んだ後に分かるよ
教えてくれた高齢のタクシー運転手は「ロシアでは死人の悪口はいわないもんだ」と解説した。
対立の構図は複雑に絡み合う。カバノフ氏*1はいう。「プーチン大統領は治安機関の抗争の中で身動きがとれなくなっている。リベラル派を後継者に指名しても、シロビキ*2は必ず巻き返しを図る」
つまりプーチンがいなくなれば、チトー死後のユーゴのごとく、政府が泥沼になる可能性があるといいたいのでしょう。
だからトップにリベラルなメドヴェージェフをおいて欧米のご機嫌を取りつつ、自分は引き続き政府をまとめる、ということでしょうか。イワノフを後継者に指名しなかったのは、プーチンが完全に権力を失ってしまうからかもしれません。
要するに、プーチン時代は終わっていない(終われない)わけですね。