お国柄

ひとくちに歴史改変ものといっても、お国柄が強く出るものだと思います。
もちろんそれぞれの国内のみで収まる話、たとえば史実とは別の南北戦争や架空戦国絵巻などについては言うまでもありませんが、色々な国がかかわる近代のそれに関しても。
長い上に退屈なので、「続きを読む」記法を初実装。


たとえば日本の仮想戦記類の場合、私に言わせると史実で負けているものですから、大日本帝国を敗戦なきまま大国ならしめることに重きをおく傾向があるように感じます。もっとも、私が読んだ範囲で言えば内田弘樹氏などの手になる、夢も希望もない(ご本人が末期戦マニアというのも大きいでしょうが)架空戦記もままありますが。
このへんは現在に舞台を移した中韓の仮想戦記にも見られます。目の前に立ちふさがる侵略者を打ち破り、アジアの覇権を目指すわけですね。
でも頼むから、もう少し日本をまともに描いておくれ。
さて、これに対し、英国の歴史改変物語はちょっと違います。
どうやら十九世紀から欧州勢力にブリテン島が侵攻されたというパターンが多いようで、どこかを征服してゆく先述の架空戦記とは明らかに違いますね。持てる国と持たざる国の差ということでしょうか。
しかしもっとも大きな特徴は、戦いそのものではなく占領下の世界を描写した作品が有名になっているらしいことです。変わり種では、イギリスが吸血鬼たちに支配された世界を描く、キム・ニューマンの「ドラキュラ三部作」なんてのもありました。
欧州大陸ではこういう筋の話を書くとナチ呼ばわりされそうですので飛ばしますが、アメリカでも同じような筋の話を聞きます。
ただ、イギリスとアメリカでは結末にちょっとした違いが見受けられます。お分かりかと思いますが、アメリカのこういう話はハッピーエンドで終わることが多いのに対し、イギリスは物語が終わるだけで、話がこれからよい方向に転がるとはとても思えないような終わりかたも少なくありません。もちろん例外はありますが。
素人目に見ると、第二次大戦が終わっても食糧配給制を続けざるをえないほどの窮乏生活だったイギリスと、日本を叩きのめして勝利に沸いたアメリカの違いに見えるんですが、どうでしょうか。