そしてネタをつなぐ

高校の図書館に、ダルタニャン物語の全訳(講談社文庫版)が置いてありました。
拾い読みはしていたものの完読の機会がなく、いつか読もうと思っているうちに卒業してしまい、最近になって全訳版が事実上あれしかない(復刊ドットコム版とか高すぎる件)のを知って歯噛みする思いですが、それは置いといて。
「ブラジュロンヌ子爵」の覚えている部分と、いつの間にか本棚に納まっていた角川文庫の「仮面の男」を読み返していて、思わず笑い出したくなりました。
「ブラジュロンヌ子爵」そのものが三部作の一部のくせして長いので、英語版では「ブラジュロンヌ子爵」「ルイーズ・ド・ラ・ヴァリエール」「鉄仮面」の三パートに分かれているそうですが、角川文庫版はおそらくその「鉄仮面」パートなのでしょう。しかし、それでも十分でした。


「ブラジュロンヌ子爵」では、三銃士の一アラミスが暗躍します。
バスティーユ牢獄につながれていた鉄仮面を引きずりだしてフランスを思うがままに操ろうという、とある勢力の支部長から後継者認定を受け、彼は資金と機密を手に入れたのでした。
至るところに工作員をひそませ、首領の命令さえあればいつでも動ける強大な秘密組織。
創立以来、キリスト教世界のあらゆる場所で深く静かに活動していた組織。
ダルタニャン物語最大の敵役にして黒幕。
その名はジェズイット教団、本名──
イ エ ズ ス 会
日本にキリスト教をもたらし、恐るべき熱心さで愛を説いたフランシスコ・ザビエルが日本では有名ですが、欧州では詐欺師や詭弁家という観点が多いらしいですね。
もっとも、それも理解できるというもの。
イエズス会の学校に通っていた友人に教えてもらいましたが、まったくイエズス会ときたら──

  • 別名「教皇の精鋭部隊
  • 会員は「死人のごとき従順(初代総長I・L・デ・ロヨラ談)」を求められる
  • モットーは「全ては、より大いなる神の栄光のためにAd Maiorem Dei Gloriam)」
  • 自分には黒に見えても、教会が白と宣言するなら信じよう(デ・ロヨラ談)」
  • 南米各地に「伝道所」を作って信者の先住民と共に篭城

これは疑われるわ。
もちろん今ではそこまで過激ではなく、布教と高等教育、社会福祉に力を入れる一般の社会団体ですが、今でもローマからは「進歩的すぎる」と批判がくるそうです。
さて例のごとく、Wikiから引用。

イエズス会は近代においてプロテスタント側のみならずカトリック側の人間からもさまざまな陰謀の首謀者と目されることが多かった。「イエズス会員」を表す言葉(たとえば英語のJesuit)がしばしば「陰謀好きな人、ずる賢い人」という意味でも用いられるのはその名残である。
イエズス会は「より大いなる善」のためならどんなことでもするというイメージをもたれており、そのため教皇や各国元首暗殺、戦争、政府の転覆などあらゆる「陰謀」の犯人とされた。さらにイエズス会の組織の強力さとその影響力の大きさのゆえに教皇バチカンを陰から操っているのは実はイエズス会総長であるといううわさがまことしやかに吹聴されてきた。

欧米は秘密結社のオンパレードですが、イルミナティフリーメイソンとはいかずとも、テンプル騎士団シオン修道会に匹敵する秘密組織(笑)が運営する学校に通っていた友人の立場どうよ、などとひとしきり考えて、やめにしました。
少なくとも、今のイエズス会に潜入工作員はいないでしょうし。
もしかするといるかもしれませんが、その場合でも007のような大立ち回りはせずに、事務所で書類作っているんでしょう。
そういえば上述の「ゼロ」にも、裏稼業やってるロマリアの神官がいましたね。
ハルケギニアでは地球上の史実がちょくちょく織り込まれますが、時間がかなり圧縮されているので、そのうちチャールズとジェームズのステュアート兄弟も登場するかもしれません。
史実でも有名なテュレンヌ将軍やコンデ大公の優秀な部下だったようですし、なんといっても時のイギリス王家ですし。
ただ、イギリスでは王政復古から名誉革命の流れですが、ハルケギニアアルビオンは連合軍に分割占領されているらしいので、出てくると話がややこしくなりそうです。やっぱ無理か。
追記。
ステュアート兄弟はあからさまに無理でしたね。ウェールズ公が登場していたのをすっかり忘れていた。
しかもテューダー朝だし。妄想癖の俺自重。