ナイト・ウォッチ

原作はこちら。
ナイトウォッチ

ナイトウォッチ

TSUTAYAに行って、DVDを借りてきました。劇場で見逃していたのでぜひ収穫しようと意気込んで出かけて行き、会員カードの期限が数ヶ月前に切れていたことが発覚して保険証と電力会社の領収書(新規入会に必要らしい)を取りに家まで戻ったりしながら、それでも取るものは取ってきましたよフヒヒ。
さっそく、ストーリーはこちら。八割方書いたのが一瞬で消えて気が立ってます。

超能力者、魔法使い、獣人……生まれながらに、普通の人間とは違う能力を持つ“異種(アナザー)”と呼ばれる人間達は、古来から存在していた。彼らは光と闇の勢力に分かれ、戦いを繰り返していた。
それが終わったのが千年前。光の王ゲッサーと闇の将軍ザヴロンとの間での休戦協定によって、異種は自ら光と闇どちらに属するかを決め、両軍はそれぞれ“ナイト・ウォッチ(闇の監視役)”と“デイ・ウォッチ(光の監視役)”となって、互いに協定を破らぬよう見張りあうことになった。

時代は下り、1992年のモスクワ。
闇の呪術師をそれと知らずに訪ねた青年アントン・ゴロデツキーは、依頼した呪いの儀式を踏み込んできたナイト・ウォッチの捜査隊に中断される。ウォッチの面々が見える彼も異種ということになり、能力がわからないまま彼はナイト・ウォッチに属することにする。
12年後。予知能力を身に着けたアントンは、協定違反のヴァンパイアを追っている最中に、頭の上に空気の渦を載せた女を見かける。その後彼は容疑者と戦い、相手を殺し自らも深手を負ってしまう。
ウォッチのボス、ゲッサーによると、その女スヴェトラーナ・ナザロワは周囲を不幸にする呪いをかけられているらしい。その呪いは過去にもある女にかけられたことがあり、光と闇の長きに渡る対立もその呪いが遠因だという。
伝説によれば、その呪いがよみがえったとき光と闇の均衡は崩れ、最終戦争が起きる。そして“偉大なる異種”が現れるが、彼は闇の陣営を選び、世界が暗黒に沈んでしまう。ナイト・ウォッチとしては、絶対に避けたい事態だ。
しかし、闇の将軍ザヴロンとデイ・ウォッチは、その呪いよりもアントンのヴァンパイア殺害を重視し、故人が吸血をたくらんでいた少年を追う。
ザヴロンの狙いは何なのか。偉大なる異種は出現するのか。そして世界の行く末は……。

舞台が現代のモスクワで、無駄に生活感あふれる映画なのですが、しかし対立軸はあからさまに「光と闇」。このギャップが妙に新鮮でした。
そう、この映画、生活臭がみなぎっているのです。
まず汚い。冒頭の呪術師の家もアントンのアパートも、モスクワの街も人々の服も、みんな汚い。少なくともソ連時代の宣伝映画に出てくるモスクワとは思えないほど汚い。ここまでくると大したもんです。
次に話が身近。例えばハリー・ポッターが新学期前に教材やら何やらを買うのは、ロンドン某所にある専門店だらけのダイアゴン横丁ですが、アントンが入り用になった生き血を求めて向かうのは、お向かいに住むヴァンパイアの親父が働いている近所の肉屋です。ナイト・ウォッチ本部も、魔法の世界ではなく市内某所の電気修理会社でした。
しかし、何より面白いのは、デイ・ウォッチ隊長にして闇の将軍ザヴロンの行状です。
例えば彼と母音が全て同じ冥王サウロンは、世界を支配しようとして果たせず、その後はモルドールに引きこもって臥薪嘗胆しながら(たぶん)復讐の機会を狙っていたでしょう。少なくともモルドール領内で彼の眼の届かないところはありません。映画での初登場だって、荒野での会戦、しかも陣頭でした。
それがザヴロンときたらどうだろう。
ザヴロン初登場時、彼を見たナイト・ウォッチの隊員タイガーの叫び声は、以下の通り。

危ない停めて、ザヴロンよ!

「停めて」というのは、車を。タイガー他二名は修理会社のトラックに乗って、ヴァンパイアと交戦中のアントンの救援に向かっていたのです。
つまり、ザヴロンの初登場は「道を渡っていたおっさん」として、だったのです。
しかもいっちょまえに黒い犬なんか連れてるくせに、部下に指令を下す時(その部下曰く「声がマジ」なのに)片手にPS2のコントローラー。自分ぽいオリキャラ作って格ゲーなんかやっちゃってます。
どうです、この庶民ぶり!(笑)

と、このように生活感に満ちたオカルトアクション映画「ナイト・ウォッチ」。今からでもレンタルしてみてはいかがでしょうか。