お隣の韓国で

三大新聞が一斉に報じた。

韓国、世界最強の新型戦車を独自開発朝鮮日報

世界最高の性能を備えた戦車を、韓国が初めて独自で開発した。北朝鮮はもとより、米国、欧州、ロシアなどの最新型の主力戦車の装甲を打ち抜くことが可能で、対戦車ミサイルの攻撃も十分にかわすことができる。ヘリコプターを攻撃できるのは言うまでもない。

世界最強の韓国型戦車・XK2が登場中央日報

防衛事業庁傘下の国防科学研究所(ADD)は2日、慶尚南道金海市進永邑(キョンサンナムド・キムヘシ・ジンヨウプ)の昌原(チャンウォン)試験場で韓国産次世代戦車・XK2の出庫式を行なった。95年から12年間、およそ2000億ウォン(約240億円)を注入した開発した結果だ。

XK2の威力は最強だ。主砲の破壊力、装甲の防護力、機動性、潜水渡河の能力などで最高のレベルだ。国防部によると、米国やフランスなどでも同様の機能を持つ戦車があるが、稼働可能な水深は今回開発された戦車がさらに深くなっており、砲塔まで水につかれる戦車は世界でも初めてという。韓国内の技術で実現したものだ。

ADDのキム・ウィファン戦車部長は「90%が韓国独自の技術であり、残りもあえて国内で開発する必要がない部品」とし「ついに戦車先進国の製品より優秀な戦車を開発した」と述べた。

次期主力戦車「XK2」、韓国独自技術で開発東亜日報

世界最高水準の韓国型次期主力戦車(XK2)が、国内独自の技術で開発された。

(中略)

ADDやロテムなどの国内の防衛産業企業が95年から12年間、約2000億ウォンを投じて開発したXK2は、機動力や火力、生存性などの面で、ドイツのレオパルト2A6、米国のM1A2エイブラムス、日本の90式、フランスのルクレールなど、先進国の主力戦車と性能で肩を並べるか、それらをしのぐと評価される。

韓国国内で世界最強の呼び声高いK2戦車。突っ込みどころの数で言えば世界最強でしょうね。


えー、このK2、詳しい諸元は不明ですが、「世界最先端のIT戦車」(東亜日報)と言う表現に全てが込められているようで。
最も早くネット上に記事を上げた中央日報記事を読んでみます。突っ込みどころの一部に対応。

1950年の韓国戦争当時、北朝鮮の人民軍は旧ソ連製の戦車「T34」を前面配置し韓国を侵攻した。韓国軍には戦車がなくソウルは3日後に陥落した。韓国軍の戦力ではT34に勝つことができなかった。当時、T34は性能が最も優秀な戦車の一つだった。韓米連合軍の反撃は、米軍が、最新鋭のM4シャーマンを投入した後になってこそ可能だった。

韓国戦争=朝鮮戦争です。ちなみに韓米連合軍→国連軍、最新鋭→主力と読み替えるといいようです。

 57年が過ぎた現在韓国軍が世界最高の戦車を開発した。防衛事業庁傘下の国防科学研究所(ADD)は2日、慶尚南道金海市進永邑(キョンサンナムド・キムヘシ・ジンヨウプ)の昌原(チャンウォン)試験場で韓国産次世代戦車・XK2の出庫式を行なった。95年から12年間、およそ2000億ウォン(約240億円)を注入した開発した結果だ。
XK2の威力は最強だ。主砲の破壊力、装甲の防護力、機動性、潜水渡河の能力などで最高のレベルだ。国防部によると、米国やフランスなどでも同様の機能を持つ戦車があるが、稼働可能な水深は今回開発された戦車がさらに深くなっており、砲塔まで水につかれる戦車は世界でも初めてという。韓国内の技術で実現したものだ。

>砲塔まで水につかれる戦車は世界でも初めてという
これは誤り。ソ連に偉大なる先輩がいます。

ADDのキム・ウィファン戦車部長は「90%が韓国独自の技術であり、残りもあえて国内で開発する必要がない部品」とし「ついに戦車先進国の製品より優秀な戦車を開発した」と述べた。現在、韓国軍の主力であるK1は、米国が設計し韓国内で生産した戦車だ。1台=83億ウォンの次世代戦車・XK2は来年末まで実験評価を終え、2011年から実践配置される。輸出の見通しも明るい。他の最新戦車の価格が100億〜120億ウォンであることから十分競争力がある。

>90%が韓国独自の技術であり、残りもあえて国内で開発する必要がない部品
フランスのルクレールWikipedia)とか見ていると相当に真似ているように思えますね。
ちなみに主砲は仏GIAT社製、射撃指揮装置と砲弾はアメリカの技術供与、装甲は露KBM社の技術援助、自動装填装置とサスペンションはルクレール譲り、エンジンは独MTU社製品のライセンスということで、車載の電子装置以外に韓国独自の技術がどこに使われているのかいまいち分かりません。

◇最高の貫通力と装甲=XK2は地球上に存在するすべての戦車を貫通できる。従来型に比べて1.2メートル長くなった砲身(6.6メートル)と新型砲弾(APDSFS弾)は北朝鮮の最新戦車「チョンマ号」はもちろん、中国とロシア、欧州などの競争戦車も貫通できる。その代わりXK2の特殊装甲は、敵の戦車の砲弾を防げる。敵の砲弾が触れると、装甲で自動的に爆発が起きる「反応装甲」の技術は最高の秘密だ。この方法で砲弾の貫通力を弱化させる。

>XK2は地球上に存在するすべての戦車を貫通できる
>XK2の特殊装甲は、敵の戦車の砲弾を防げる
中国で矛と盾を売っていたある行商人に関する諺を思い出します。

◇最新装置=XK2は弾薬が自動的に装填される。2キロ以内の固定または移動中の標的への命中率は95%以上。ヘリコプターを撃墜できる電子知能弾も備えている。この弾は発射の後、自ら標的を探し攻撃する。XK2は射程9.8キロメートルで標的を自動追尾するほか、敵軍と自軍を区別するため熟練していない戦車兵でも敵軍を制圧することが期待できる。戦車内の4のモニターには、韓国軍と敵の位置など戦闘地域の状況が表示される。化学兵器・微生物と放射能の汚染地域でも作戦を遂行できる。

>2キロ以内の固定または移動中の標的への命中率は95%以上
>XK2は射程9.8キロメートルで標的を自動追尾する
この自動追尾による命中率が気になるのですが、発表されていません。

◇高速走行=最高速度は時速70キロメートルで、ぬかるみの中でも時速50キロメートルでの走行が可能なほか、多くの先端装備を搭載している。従来の戦車より10キロ速い。道路が傾いていたり障害物があれば、自動的に水平に調整する。砲身がひたる4.1メートルの水深でも走ることができる。これぐらいの水深まで入れる戦車はXK2だけだ。

>従来の戦車より10キロ速い
これは誤り。先に挙げた仏ルクレールは整地面で72km/hを誇るほか、中国の99式戦車は同じく整地面で80km/hの数字を叩き出しているし、日本の90式戦車も70km/hは出ます。どれも机上の数値ですが、そこはK2も同じ。
>砲身がひたる4.1メートルの水深でも走ることができる。これぐらいの水深まで入れる戦車はXK2だけだ
前に述べたように、これは誤りです。広義では。
 

と、こんな風にいい感じで、軍オタが入ったシロート(技術供与云々の場所はネットを漁った)にすら突っ込みが入ってしまいます。多分見る人が見たらもっと行くでしょう。下手な事を言うもんじゃないですね。
そうそう、世界最強との事ですが、実戦配備1年前の2010年には日本の次期主力戦車TK-X(Wikipedia)がデビューする予定で、こちらもそれなりのものになりそうですし、単体性能だけで世界最強の座をほしいままにするわけには行かないのではないでしょうか。それに車両間通信システムを充実させすぎて乗員に負担をかけることになりそうですし、命中率も各紙の記述に反して本家ルクレールに負けてますし、アクティブ防御システムは電波を周囲に撒き散らして発見されやすくなりますし、重い(55t)戦車は今更感がありますし、そこまで手放しに喜べる事でもないような。
踏破能力やサスペンションの性能は山と川が多い韓国の国土に合いそうですが、鈍重ではどうしようもありません。
何より、戦車単体の性能が良くても、今の時代やっていけるんでしょうか。そろそろ戦時指揮権も返還されますし、ハイテク戦車を十分に使いこなす戦闘システムを構築する事も大事かと。
だからって、それを日本で試されちゃ困るけどな。20年前の設計思想で作った90式とは互角以上かもしれないし。


ところで、全ての新聞で具体的数値が出てくるのは重量の55tと主砲の120ミリ55口径滑腔砲の二つだけで、あとは対ヘリコプター戦闘能力だのミサイル能動防御機能だの、抽象的な文句ばかり。朝鮮日報は無駄に詳しいが、全高全幅などの被弾率に響く事柄は書いていない。やっぱりまだ軍機なんでしょうか。
これについて、2chである人がこんな事を。

最強だ!
技術は秘密だ!
地球上のすべての戦車を貫通できる!

>>1(上掲の記事)を読んでいると、一昔前の怪獣図鑑の解説みたいだね。