誰も知らない小さな国

さて、誰も知らないは言いすぎですが、最近までリアルにドンパチやっていた(あるいは今もやっている)にもかかわらず、大手メディアにあまり取り上げられないような場所もございます。
たとえば世界が満場一致で見捨てているソマリアや、それこそ上に登場したミャンマーとタイの国境地帯などですが、今回紹介するのはそのひとつ。
ネパールです。
最近、マオイストが第一党に躍り出たというニュースが流れまして、産経新聞あたりはチベット難民の行くあてについて懸念してましたね。もっとも、そもそもこの国は1990年まで絶対王政が続き、それから始まった立憲君主制が2001年にまた失われて、96年からの内戦状態が激化したという目まぐるしい政変を経験しております。

そして、この2001年から約五年間のネパールを描いたルポ、でいいのかよく分かりませんが、そんな書籍がこちら。

ネパールの政治と人権 (世界人権問題叢書)

ネパールの政治と人権 (世界人権問題叢書)

マンジュシュリ・タパ著「ネパールの政治と人権」。
世界の誰も見向きしなかったといっていいネパール内戦の実情が描かれているのですが、著者の文才もあいまって引き込まれます。国立歴史博物館の見学模様と並行してネパール史を概説するあたり、さすがとしか言いようがない。
そして王党派、会議派、共産党のどれも救いようがないという点も、さすがとしか言いようがない。
もっとも、そんなことが断言できるのも著者の筆致によるものでしょう。少なくとも数年前に暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤ女史よりは、文がうまいと言いたくなります。
参考↓
プーチニズム 報道されないロシアの現実

プーチニズム 報道されないロシアの現実