一見してお分かりのように

はい、失礼しました。
全部嘘ですね。
だいたいタグルアト社ってなんすかそりゃ。ソフトドリンクには詳しくないけど、スラッシオなんて見たことも聞いたこともないし。だいいち吉田ガヌってどこの国の人間だよ。
ついでに言えば、もうちょっと日本語どうにかならんのか。タグルアトに関しては由来が南洋系だからまだ許せるけど、吉田ガヌにせよ「HEROES」のヤマガト工業にせよ、アメリカさんは日本趣味があるわりに、日本趣味以上の知識に到達しないまま名づけるから困る。その点はまあ、協和語(「〜〜アルヨ」ほか)が未だまかり通る日本でもあまり変わりませんが。
まあ最後のはどうでもいいですが、名前については無駄にウンチクたれる癖のある私でなくとも、ちょっとは気になるところだと思います。
などと言っていると、公式ページを発見。
あまり広報にやる気を出していないようで、日本語版ページすらありません。単に日本語に堪能なスタッフがいないだけでしょうけど。
しょうがないので英語版ページへ移動。そこに記載されている社の略史によると、一九四五年に九州で興った「力の手」という小さな炭鉱会社が、この世界的複合企業のはじまりだそうです。
初代社長はカンタロー・タグルアト氏(便宜的に、以下手繰与氏と表記)。少年時代にポリネシアから日本本土へ移住した彼は、終戦直後の荒廃した日本にあって、世界のエネルギーを自らの手中にするという壮大な夢を描いて「力の手」を設立、非鉄金属を取り扱う中堅企業へと同社を成長させます。
手繰与氏の手腕もあって「力の手」は日本の高度経済成長の波に乗り、六十年代に機械工業と宇宙産業、七十年代に石油化学素材へと手を出しますが、八十年代にジャパン・バッシングのあおりをモロに喰らって経営が悪化しついに倒産、責任を感じたのか手繰与氏は自殺してしまいます。
ここで登場するのが、現最高経営責任者の吉田ガヌ氏。
一九八九年、みずからの新しい外洋掘削技術を世に出したかった彼は、ズタボロの「力の手」社を買い取って徹底した経営改革を断行、新事業を始めました。
そして十五年後には、瀬戸内海をはじめ世界各地に効率面ではどこにも劣らぬ十三の石油掘削施設をもつようになっていたのです。
吉田氏は最高経営責任者に就任してのち、「力の手」についてまわるマイナスイメージを払拭するため、創設者の手繰与氏にあやかって社名を「タグルアト」へ改名、関連企業をつぎつぎ設立し今に至る──のだそうで。
で。
噂によると、これは映画「クローバーフィールド」の壮大な広告なのだとか。
しかもこちらも噂の域を出ませんが、主人公が勤める会社というだけで、本編中には目立った登場がないとのこと。
なんだこの設定魔。
監督の気合が入っているのは、上述の詳しい社史を見ても一目瞭然ですが、ニュース風の映像が上だけでなく、英独仏西露の各言語版も見つけたときには大笑いしてしまいました。しかもそっちに登場する人のほうが日本語上手いってどうよ。
コアな外画ファンではないので結末やストーリー展開などまったくわかりませんが、むしろその方が擬似ドキュメンタリーを観賞するにはいいのかもしれません。
クローバーフィールドの公式ページ(正確には予告編ページ)はこちら
それにしても、映像に映ってる仲哀油田て、字面的に縁起悪そうですよね。
タグルアトの最初の油田が「神武採掘施設」でしたから、恐らく初代から順々に天皇さんの号を油田名にしているということなんでしょうが、日本人として言わせてもらえば、政府や右翼から文句つきそうな天皇追号よりも「みらい」とか「ほっかい」みたく平和な単語を油田名に選ぶぜ!

では最後に。
Exploding our world, Ensuring your future.
世界をしらべ、未来をつかむ。
可児雑文帳は、タグルアトを応援しています。
アンブレラ社は応援してません。