ところ変われば品変わる

とは言いますが、当てはまるのは物質的なものばかりでもないようで。
昨年末に、オーストラリアの捕鯨活動家が日本領事館にペンキをぶちまけるという中国的行動をやらかし、さらに警察がそのまま活動家連を見送ったという報道（J-CASTニュース）がありました。
正直なところ（初見のソースがソースなので）、
「まあオーストラリアだし、話半分に聞いておこう」
と私は軽く流していたのですが、それだけではすみそうにありません。
去年の十一月に労働党が政権を取ってから、それまでの親日方針と訣別するためか、捕鯨にやたらと苦情申し立てが増えてきております。私としては、自然保護のために捕鯨をやめろというなら、まずオーストラリアの土壌をどんどんダメにしている羊の放牧をやめさせるべきではと思うのですが。
で、こんな報道がありました。
豪州新政府が軍派遣検討？　日本調査捕鯨船、本当の危機（同上）
これは、先述のペンキ騒動より前の話ですが、要するに素地はあったということでしょう。引用すると、

（前略）豪州労働党のホームページでは、ギャレット環境相は2007年5月の時点で、「オーストラリアの水域に日本の捕鯨船が入った場合、軍を出動させるか」との質問に対し、
「私たち労働党が言っていることは私たちが、南大洋クジラ類サンクチュアリー（保護区）を監視する役割はますます増しており、常に監視する役割を持つ必要があるということだ」
と「軍の出動」を示唆する発言をしている。

オーストラリア全体に反捕鯨熱が高まっていることを考えれば、日本領事館が抗議しなかった以外は特におかしなところはなかったと思います。ただ本当に軍が出動するとなれば、法的手続きを経ている調査捕鯨船もかまわず撃沈されかねませんので、水産庁だけでも何か言っていただきたいところ。
とか思っていたら、こんな騒ぎもあったそうで。
捕鯨問題で「豪批判」動画 YouTubeで日豪サイバーバトル（同上）
どこかの勇敢な方がようつべに上げた動画が発端だそうです。
題名の「白豪主義オーストラリアと反捕鯨」のとおり、オーストラリア人はディンゴやカンガルーを平気で殺すのに捕鯨はなぜいけないのか、日本人だからじゃないのか、といったようなことを紙芝居形式で主張しているのですが、これが大炎上。
記事から豪州人の反応を引用しますと、

「ジャップ（Japs）はキモいマンガとかアニメで"自分イメージ"を良く見せるよな。でも今回は失敗なんじゃないか」
「ビデオはぽんこつだ。誤りと一般化でいっぱい。こんなゴミみたいなことを信じちゃう奴がどんなことを考えているのか知りたいもんだ」
「どうやってこんなプロパガンダ作ったんだ。製作者こそ人種差別主義者だ」
「あ〜汚れたジャップ･･･」
「鯨は世界で最も美しく価値ある動物で、子孫がその美しさを見るためにも保護すべきなんだよ。だからカンガルーと比べんな･･･黙りやがれ、ジャップはこんな議論する権利はないんだ」

と、ご覧のとおり。
まあ、ものの見事に逆ギレされてますね。なんというべきか、我々日本人もそうですが、人格攻撃を並べられたときと図星を指されたときは、怒りが頂点に達するようです。両方の気があればなおさら。
さて、個人的には「鯨が世界で最も美しく価値ある動物」であり、「ジャップはこんな議論する権利はない」という根拠を小一時間問い詰めたいと突発的に思いましたが、日本でもVIPPERの意見が国の総意でなし、まあまあ……などと、自分を落ち着かせて続きを読んでみたら。
予想の斜め上を行く南の大陸、ネタになる話が続いております。
なんと、政府じきじきにマジレス。

　1月7日の豪デイリーテレグラフ（電子版）はユーチューブに掲載された動画を「オーストラリアの人種差別者と日本の捕鯨支持者」と題して報じ、
「豪州政府を脅して捕鯨反対の立場を変えさせられると考えるのは全くの間違いだ」
とする豪州政府スポークスマンのコメントを紹介。
また同日の豪ABCニュース（Australian Broadcasting Corporation）は、「捕鯨推進者のビデオが"差別主義者"キャンペーンで攻撃」と題して、この動画を批判的に報じた。
同局は、ディンゴ協会長の「我々は捕鯨はどんなことがあっても容認できない立場」「捕鯨推進者の都合のいいように（ディンゴ保護活動家がディンゴ虐殺を批判する）コメントが使われた」といったコメントを紹介。さらに、捕鯨反対の立場のスティーブン・スミス外相の
「このビデオで、我々の強固な捕鯨反対の立場が変わることはない。豪州政府は固い信念は変わらないし、豪州国民もまた、こんなもので尻込みすることはないと信じている」
というコメントまで紹介している。

誰が豪州政府を脅しているのか、私にはさっぱり分からないのですが、自らの欠点を指摘されて国家レベルで逆上しているわけですから、分からないのが普通なのかもしれません。
つーか、Youtubeのいち動画に釣り上げられた外相乙。
ならびに、ネトウヨといわれた俺自重。