食わず嫌いはよくない
あらためて思い知りました。
といってもそんなたいそうなことではなく、漫画で、ですが。
- 作者: 納都花丸
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2006/06/09
- メディア: コミック
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ええいくそ。紹介するだけで恥ずかしいが、買ってしまったものは仕方ない。
「蒼海訣戰」。
字面は勇ましいですが、まあ見ての通りレディースコミック。コミックREXって少年誌じゃねえのかよ。
正直、名前とストーリー紹介だけでいつか買おうと決めていた人間としては、表紙の絵柄を見てレジに持っていく気力が萎えたものです。結局買ったけど。
さて、本来書店に立ち寄った目的が中公新書の林健太郎著「ワイマル共和国」だっただけに、こうした腐女子御用達系(先入観)漫画はとてつもなく間抜けな買い物にも見えてしまうけれども、なかなかどうして。
レディースコミックだからとバカにしちゃいけませんね。
とりあえずストーリー紹介をば。
決して広くない諸島をようやくのことで統一し、大陸の干渉と内乱を生き抜いて近代化を推進しつつある、極西の新興国家。
それが、津州皇國(つしまこうこく)だ。
現政府は、当地の八割を占める秋津人(あきつじん)が建てた君主国。その体制に組み込まれた他の民族は公然と差別され、二級市民としての生活を余儀なくされていた。
ある日、諸島北部の少数民族・追那人(オイナじん)の少年サネクは、秋津人家庭の養子となる。変名し三笠真清(みかささねきよ)となった彼は、水軍志官寮に首席合格という快挙をなし、水軍士官への道に進もうとしていた。
だが彼の体には、一目で異民族とわかる特徴があった。
すなわち、前頭部にある大型の耳と、尻尾である。
ゆえに好奇や軽侮の目を向ける生徒・教官陣や、彼と同じ少数民族ゆえに周囲を敵視する汐見人(しおみじん)の先輩の渦中に放り込まれながらも、次席合格の秋津人少年と良好な第一印象を築いた真清は、とにかく水軍生徒として歩み始めたのだった。
……あー、まじめに書いててばかばかしくなってきた。
ええそうです。ファンタジーにしろ仮想戦記にしろ漫画にしろ、どでかい突っこみどころがありますね。
そう。主人公が猫耳尻尾。
ホントに買おうかどうしようか迷ったもんなあ、書店で。結局買ったけど。
ええ、教わった方の評を信じて、買ってみたんです。
いや、買ってよかったと思った。
ぶっちゃけ猫耳尻尾は勘弁していただきたいですが、これは贅沢というモノでしょう。小説「皇国の守護者」の漫画版があまりに面白かったので、ファンタジー戦記漫画はこういうものだと思い込んでしまっておりました。
参考↓
皇国の守護者〈1〉反逆の戦場 (C・NOVELSファンタジア)
- 作者: 佐藤大輔,塩山紀生
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/07
- メディア: 新書
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- 作者: 伊藤悠,佐藤大輔
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/03/18
- メディア: コミック
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絵柄にせよキャラ設定(含む容姿)にせよ、これはブックオフ行きかなと考えながら読んでいた第一話で、志官寮での主人公の担当教官の言動にビビりました。
彼は真っ先に世界地図を広げ、生徒たちに見せます。それは彼らが馴染んでいた皇國を中心とした世界地図ではなく、大陸列強群を中心に描き、皇國を左端に追いやるものでした。
で、生徒たちは抗議の声を上げるのですが、それに対する教官の言葉。
(前略)
津州皇國は素晴らしい国だ。それを守るのが水軍だ!
だが、津州皇國が世界の中心にあるから素晴らしいのか?
世界一素晴らしい国だから津州水軍が守るのか?
重要なのは、津州皇國が我々の国で、
そして位置はどうあれ、世界の中にあるということだ。*1
これを読んで思いましたね。猫耳は飾りだと。
そして本当に、猫耳尻尾以外はガチガチなストーリーなので、逆に反応に困る。
しかしとりあえず置いておく、捨てられない私でした。
*1:原典に句読点なし。太字は原典では傍点。