イケてるあいつは自衛官

その物理研究部でキャプテンをしていた同級生、神野“魔人”五郎(仮名)は、今では戦う公務員の卵になっておりました。
いや驚きましたね。
私の知ってる彼は、責任感は人一倍でしたが良くも悪くも楽観的で、髪を肩までたらし、部活では紙飛行機とペットボトルロケット(彼は航空力学を研究)に命を懸け、ロックミュージック愛好会でギターを弾いていた人でした。
それが。入校一ヶ月で。
敬礼がさまになる筋肉やせの学生に変わっておりました。
それもそのはず、彼曰くこの一ヶ月は自衛隊式の生活に学生を慣れさせるための“シメる期間”だったそうで、「毎日がネタだった」とのこと。自衛官の方読んでたらすみません。
彼的にどのへんがネタかといいますと、

  • 入校式にのぞむ防衛省高官がヘリで到着
  • ラッパで起床
  • 起きてすぐシーツを整える
  • みんな基本が大声
  • 点呼で整列する時に、かかとのラインから二センチずれるとどやされる
  • 「右へならえ」の「な」で反応しないとやり直し
  • 「番号」の「ば」で(ry
  • 国旗掲揚・降下の際は指定された方を向いて直立不動
  • かなりの頻度で腕立てがある
  • 制服によくアイロンがけをしないと叱られる


こんなことを列挙していました。経験者の方々にとっては当たり前なのでしょうが、その場にいた私たちOBや在校生はかなり驚きました。
詳しい話を聞いた項目を紹介しますと、入校式のとき公用車が玄関前に止まったので、彼をはじめ学生たちはそこから高官が下りてくると思ったのに、車はカラでヘリが降りてきたんだとか。その後、車はヘリから玄関まで高官を乗せるのに使われたそうです。
国旗掲揚の場合は直立不動も問題ありませんが、問題は国旗降下だそうで、浴場が夕方五時から開くのに対し、国旗降下が五時半。だから、下手をするとシャワー出しっぱなし、又は湯船にいる状態から直立不動に持っていく必要があるので、時間を考えて行動する必要があるらしいです。
制服にアイロン。これはその場の誰もが「何それ」と思ったんですが、自衛隊は制服や戦闘服(?)の状態についてかなりキビシイらしく、回数を踏む必要があるのでアイロンがけがうまくなるのが必然とか。先輩に見てもらいに服を持っていくと、「服の脇に線がでるぐらいにしろ」と指導されたと言ってました。
他にも、「数字の読み方がヒトフタと独特」とか「まだ半人前で階級がないので、正式な一人称は『神野学生』」とか、色々と高校時代とは(他の大学とも)随分違う環境にいる事を教えてくれました。
彼は今後、留年したり貰った給料を返したりしなければ、九年間自衛隊にいる事になるそうです。
魔人、ガンガレ。超ガンガレ。